マロニーのことマロニーが現れたのは、一昨年の夏のこと。 突然、といった感じでごはんをもらいに来たのである。 首の後ろが、ざっくりと割れ、正直言って、 「良くまぁ、これで暮らしている」と驚くほどの怪我だった。 喧嘩傷が化膿してパックリ割れた、という感じだったのだと思う。 これは、エイズか白血病のいづれか、もしくは両方に確実に感染しているのではないかしら、と思った。 しかし、まったく触れない子で、病院に連れていくことはできなかった。 そして、夏の間に傷も癒え、ごはんをもらいに来る日が続いていた。 ちょうど、保護したジョニーやゴマたちの兄弟を捕獲して去勢しようとした捕獲器に、一昨年のクリスマスの日にかかって去勢しリリースした。 それからしばらくして… どんどんやつれ、ボロボロの状態になってきた。 エイズか白血病の発症だと、思われた。 それでも、懸命に生きていた。 近所の猫友Iさんの家のお庭に猫ベッドを置いてもらい、そこで寝起きしていた。 Iさんも、私も、何か食べられるものはないか、とにかく探して、少しでもいいからと食べさせた。 この写真は今年の1月18日のものである。 もう、絶え間なくよだれが出て、もちろん、毛づくろいもできないから、毛並みがバサバサでドロドロの状態だった。 それでもがんばって生きていた。 先月末、何日かぶりに顔を見せたのだが、何も食べなかった。 ただ、じっと私の顔を見ていた。 まるで挨拶に来ているみたい、と私は感じた。 それからひと月ほど、まったく顔を見せなくなったので、すごく気になり、Iさんに連絡した。 「5月3日の早朝になくなりました。 それでも、前々日までは、うちの前の駐車場で寝そべったりしてたの。 前日からは、さすがに何も食べられなくなって、いつものベッドで寝ている時に、絶対に触れない子だったんだけれど、その時は触れて、ニャーニャー、微かに2回鳴いて。 翌日早朝、気になったので見に行ったら、前の晩の姿のままで眠るように死んでいたわ。 お湯のタオルで拭いてあげたら、きれいに、本当にかわいくなってね。 このへんの人は猫好きが多かったから、ボロボロの子だからといって、石をぶつけて追い払うような人はいなかったし、何か食べられるものはないか、とあれこれ食べさせる人が何人もいたから、ああいう状態の子にしては幸せだったかもしれないわね。 もちろん、霊園の動物火葬に持っていったから。」 ということだった。 うちでは、マロニーと名付けてごはんをやっていた雄猫。 触れないから、保護に踏み切れなかった子。 今度生まれて来る時は、幸せになってほしい。 ヘンリーの時もそうだったが、野良猫を幸せとは、どうしても思えない。現在の都会の環境はそんなに優しくない。病気も蔓延している。 それなのに、捨てる人がたくさん存在する。 せめて一代限りと避妊や去勢をしても、長生きはできない。 悲惨な最期が多い。 いつも、いつも、苦しむ子たちを見ながら、自分の限界を感じている。 こんな写真でも、たった一枚の写真。 マロニーのこと、私は忘れない。 また、いつか、どこかで、きっと会おうね。 その時は、発症する前の、なんだかお茶目な柄の、ふっくらした猫に戻っていてね。
by kishibojinn
| 2013-05-27 14:59
| ねこ
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