美しき壇引布 その2
毎日、暑いです。
お施餓鬼会の準備をしています。 今日は、 「施餓鬼壇にどの壇引布を使うのか、選んで」 と弟に言われたので、 やはりこの布を! 一年に一度の目の保養とばかりに出してみました。 牛車の模様の拡大 牛車の模様の拡大 これは、もともとが夏用(つまり、今頃)の着物なので、 施餓鬼会しか使えません。 この布のみは、 「安政6年に作った」 「(尾張徳川家)11代斉温公 ご寄進」 ということが記録として残っています。 私は、源氏物語の「野の宮詣で」の意匠だと思って眺めています。 でも、11代はお国入りもせず(つまり、名古屋の地を踏むことはなかったのです)江戸で21歳で死んだということですし、(ハトの飼育に血道をあげていたバカ殿、という評価もあります。かの、子だくさん11代将軍の息子を押し付けられた形のよそ者藩主でした)本当に、斉温公のご寄進なのか、と疑問です。 12代の方が趣味人として名が通っていましたし、彼の奥方連のご寄進、という方がぴったりだと思ったりするのですが・・・。 それにしても、刺繍のすばらしいこと。 また、呉服屋さんに言わせれば、友禅の部分がすばらしい、ということです。 刺繍のために色はつけていないけれども、その草の様子や菊の花の中の筋など、ものすごい技術、なんだそうです。 さすが大名に納められたものですね。 着物のままなら、明治にでも散逸してしまったかもしれませんが、 壇引布にするために着物を裁ってしまってありましたし、汚れもありましたから、現在に伝わっているのだと思います。
by kishibojinn
| 2006-08-15 20:57
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